愛の生活






高耶と直江が一緒に暮らしはじめて、3ヵ月が過ぎようとしていた。そんなある日、千秋と綾子が二人のマンションを訪れた。

綾子と高耶はキッチンで楽しそうにお茶の準備をしている。そんな二人を見るとも無しに見て、千秋は正面に視線を返した。
真向かいの直江は、まだ高耶に視線を向けている。
そんな直江に、千秋は先程の会話の続きをしかける。

「で?寝室は当然だとして、リビングは?」
「した」
「キッチンは?」
「した」
「書斎は?」
「そこもした」
「風呂」
「やった」
「玄関」
「やった」
「車」
「やった」

「何の話だよ?」
突然高耶が割り込んできた。
「掃除か?」
無邪気そのものの瞳で尋ねてくるその顔に、つい千秋は本当のことを言ってしまう。
「いや、おまえらがセックスしたことのある場所を…」

「〜〜〜〜!!!」

最後まで言い終わらないうちに、高耶の念が部屋を駆け巡る。
一瞬にして嵐が通り過ぎたような状態になった。

バタン!!

寝室のドアが壊れそうな音を立ててしまる。

しばらくして、キッチンから恐る恐る顔を出した綾子は、部屋の惨状に呆然とし、それから苦々しく呟いた。
「あんた達、なんてことしてくれるのよ…」
その言葉に反応してかどうか、ソファーごとひっくり返っていた千秋が、ソファーを起こして座り直す。
そしてやはり床から身を起こした直江に一言。
「トイレは?」
「いや、まだだ」
「いい加減にしなさい!!」

――――聞く千秋も千秋だが、答える直江も直江である。

後日、トイレも制覇したとの報が千秋の元に届いたかどうか…。それは皆様のご想像次第である。





[終]

紅雫 著
(1999.12.27)


[あとがき]
…初々しいですね(爆)。ギャグだから許して下さい。


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