いつもなら、高耶は玄関のドアを開ける音で出てきて「おかえり」と言ってくれるのに、今日はなんのリアクションもない。リビングの電気はついているのだが………。 (またソファで寝てしまったのだろうか?) 怪訝に思いつつリビングのドアを開けると、そこには熱心にTVを見ている高耶がいた。 「あ、おかえり、直江」 ちょうどコマーシャルに入ったところで、ようやく高耶が振り返る。
「ただいま帰りました。何を見てるんですか?」 再び始まったドラ○もんに見入りつつ、夢心地のような口調で呟く。あまりにも熱心に高耶が見ているので、直江は少し妬けてきた。
「ねえ、高耶さん」 高耶は振り返らない。
「もしドラ○もんが本当にいるとして、私とドラ○もんどちらか選べと言われたら、どうします?」 ――――どっちに? 美しく気高いタイガースアイは、うっとりとドラ○もんを見つめたままだった………。
[終]
紅雫 著 [あとがき] 「KECHONIST」投稿作品第三弾。 どこでもドアが欲しい。あれがあったら、毎日ちゃんと学校行くのに。 そういえば、ドラ○もん占いをやったら「の○太」だった。ますますもって、ドラ○もんが欲しくなってきた…。 |
目次 |