(毎度毎度花束じゃつまらないからな。だが時計はバレンタインに贈ったばかりだし、スーツでは滅多に着てくれないし。やはり今年は指輪か?だがこれも恥かしがってつけてくれない可能性が大きい。高耶さんが遠慮せずに「これが欲しい」と言ってくれればいいのだが。……そういえば、去年の誕生日にホテルのスウィートを予約したら「おまえがいれば他に何もいらない」と言ってくれたんだ。あの時の高耶さんは本っ当に可愛かった。ベッドの上でもずいぶんと盛り上がったし。またあの台詞を聞いてみたいものだ……)
妄想が広がるにつれ、直江の鼻の下はどんどんと伸びていく。だが高耶は気づかない。もし気づいていたなら、飼い犬に対する教育のし直しを検討したことだろう。
「ねぇ、高耶さん。もうすぐ高耶さんの誕生日ですね」 どこか上の空で高耶が答える。 「今年はプレゼント、何がいいですか?」
直江の計画では、「別に何もいらない」という高耶に、高い物を次々と示し、最終的には「おまえがいれば他に何もいらない」という言葉を引き出す予定だった。
「んー、じゃあ、ドラ○もん」 予期せぬ答えに、直江の目が点になる。よくよく注意すれば、TVからは聞き慣れた大山の○代の声が流れてきていた。 (しまった。今日は金曜日……)
直江は自分の迂闊さに舌打ちしたい気分になった。
「そうですね。ドラ○もんは23世紀になったら買ってあげますよ。今年は、何が欲しいですか?」
TVには、元気に飛び跳ねる猫型ロボット2体。
[終]
紅雫 著 [あとがき] 「KECHONIST」投稿作品第四弾です。 注:この作品は、先に同作者の『金曜夜7時の選択』を読んでいただいてからお読みいただけると幸いです……ってラストのコメントに書いてどうする(爆)。 直江けちょん的高耶さんBD(直前)小説はいかがでしたでしょうか?まともな高耶さんBD小説のひとつも書かずに、こんなのばっかね、私(爆)。 まあ高耶さんが楽しそうなのでいいことにしといてください。 |
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