【10】
車中から帰宅を告げる電話を家に入れた直江は、高耶が行方不明だと聞かされ、思わず大きな声で母親を問いただしていた。 『それがね、買い物の途中でいなくなっちゃったのよ』
しっかりとしているはずの母が、珍しく焦った声をしている。電話口でオロオロとしている母の姿が目に浮かんだ。
「それじゃいなくなってから、そんなに時間は経っていないんですね?」
それだけ告げると、直江は慌ただしく電話を切った。
「すまないが人探しを頼みたい」 怒った声で返されるが、そんなことに構っていられない。 「俺が少年を引き取った話はしただろう。その子がいなくなった。まだ1時間ほどしか経っていないが、なんだか嫌な予感がするんだ。頼む、探してくれ」 珍しくせっぱ詰まった声で頼みこんでくる友人に、鮎川は驚いて思わずちゃかした。
『お前がそんなに焦って、しかも頼みごとしてくるとはな。地震でも起きるんじゃないか』
そう言うともう一度頼んだぞ、と念を押し、電話を切る。 (高耶さん、何があったんですか)
嫌な予感に胸が締めつけられる。ただの迷子ならいいのだが。
車が止まった途端、高耶が転がり落ちる。車の中で気がついて、逃げる機会を伺っていたのだ。 男達は一様に下卑た笑いを浮かべながら、高耶を引きずって廃工場に入ると、床に荷物のように投げ出した。
「っ痛!」 里見がそう命令すると、他の男達が3人がかりで高耶を押え込んだ。 「はなせ!」
もがいても、細い高耶の手足では抵抗すらできない。 これから何が行われるのか、高耶には分からなかった。分からないことで、余計に恐怖を感じた。自然と涙が浮かんでくる。 「いやだ!触るな!」
知らない人間に体を触られる嫌悪感に、必死で身体をよじる。そのことが余計に男達を煽っていることも分からない。
抵抗の甲斐も無く服は剥かれ、高耶は全裸で押さえつけられた。 「――――!」
何かぬるりとしたものが塗られる。 (直江―――――!!)
[続]
紅雫 著 [あとがき] 私の意識では、強姦は肉体、精神の両方に深い傷を負わせる最低最悪の暴力だと認識されております。ではなぜそれをやるのかというと、話の展開上必要だったからです。 …なんて言い訳してみたってやってることは変わらない(爆)。 高耶さんファンにはあるまじき行いだったかしら…。 しかも18禁にしたほうがいいのか?これ(爆)。 でもこの程度なら商業誌に載ってるから、平気、ですよね…?(←誰に聞いてるんだ) |
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