OATH 〜ずっとそばにいる〜


【11】





高耶が行方不明になってから、もう2時間経つ。
直江は駅前で鮎川と共に聞き込みにあたっていた。二人の兄も、捜索を手伝ってくれている。

なのにまだ影すら見つからないとはどういうことだ。
母と姉は家に帰した。もしかしたら高耶が自力で帰るかもしれないからだ。
電話でも連絡があれば、すぐに迎えに行ける。

(高耶さん。いったいどこに…!)

直江がいらいらと煙草を揉み消したとき、鮎川の部下が慌てたように走り寄ってきた。

「この写真に良く似た少年を見かけたそうです!」

鮎川が反応するより早く、直江が怒鳴る。

「どこだ!」
「あちらの通りにいる少女達が…」

みなまで言い終えないうちに、直江が走り出す。
慌てて後を追いながら、鮎川はぼやいた。

「おまえが仕切るなよ。あれは一応俺の部下だぞ」

だが焦っている直江には聞こえなかった。



目撃者はまだ10代だとわかる少女達だ。
思わず補導したいところだが、鮎川はぐっと堪えて尋ねた。

「この少年を見たんだって?」
「うん。なんか、可愛い子だったから覚えてるんだよねー」

友人同士、顔を見合わせて頷く。

「どこに行ったか分かりますか」

鮎川の後ろから直江が声をかけると、少女達は途端に顔を赤らめた。

「えっとねぇ、あっちの方に走ってたよ。なんか誰かを探してるっていうか、追いかけてたみたい」
「追いかけていた…?」
「そう。でもあっちの方ってヤバイんだよねー。薬やってる奴とか、暴走族みたいのが結構いるんだ。だからあたし達絶対近づかないもん」

鮎川と直江はさっと顔を見合わせる。
そんなところに高耶が1人で行ったとなると…。

「ありがとう」

礼もそこそこに、直江は再び走り出した。鮎川は一応、

「君たちも早く家に帰りなさい」

と注意し、直江の後を追った。
少女達の声が遠くなる。どうやら

「さっきの人めっちゃくちゃカッコ良かったね!」
と言っているらしかった。





「……ぅ…っ」

くぐもった呻き声が高耶の口から漏れる。

あれからどれだけ経ったのか。
間断なく襲ってくる苦痛に、高耶は何度も失神していた。だがその度に、更なる苦痛で無理矢理意識を覚醒させられる。

「ほら、もっと声出せよ」

高耶を貫き、揺すぶっている男が下品な笑い声を立てる。
周りではかわるがわる高耶を犯した男達が、同様に嗤っている。

高耶は両手を細いワイヤーのような物で縛められ、頭上で押さえつけられていた。身体には無数に紅い線が走っている。男達が高耶から鳴き声を引き出すために、ナイフでつけたものだ。
そしてその上に散る白い粘液―――。

口腔も秘所も嫌というほど犯された。それでもまだ男達は高耶を放そうとしない。薬でも打っているのか、男達の欲望は尽きることがないようだった。

高耶の身体で散々に欲望を解放した男達とは逆に、高耶はまだ一度も達していない。最初に塗られたクリームには媚薬が混ざっていたようで、高耶の身体は意思とは無関係に高まっていた。
だが、その欲望のはけ口は細い紐のような物で塞き止められ、熱をため込んだままだ。それが余計に高耶の身体を狂わせ、男達を喜ばせていた。

高耶の声は完全に嗄れ、ほとんど出なくなっている。
だが男達はそれでは満足できないようだった。

「声出せって!」

苛立ったように乱暴に身体を揺すってくる。

「ぁあ…っ!」

ようやく少し大きな声が出ると、満足したのか高耶の中に新たな液体が注ぎこまれた。

「どうする、こいつ。犯りすぎて声でなくなっちゃったよ」

つまんねぇと言いながら、1人が高耶の頭を足で小突いた。高耶はぐったりと横たわったままだ。

「なに、それならもっと痛い目見せてやりゃいいのさ。こいつを使おうぜ」

そう言って別の男が取り出したのは、小さな、けれども鋭い鋲のついたリングだった。それを自らの性器に装着する。
嫌な予感に、高耶は涙で潤んだ瞳をゆっくりと上げ、その男に焦点を合わせようとした。
高耶の視線に気付いた男はにやり、と好色そうに笑い、再び高耶の足を持ち上げた。
血と精液で高耶の秘所は充分潤おっている。男は一気に挿入した。

「アアアアァ―――――ッ!!」

目の前が紅く染まるほどの激痛に、高耶は掠れた声で叫んだ。
先端に付けられた鋲が、柔らかい内壁を傷つける。血が溢れ、中に溜まっていた精液と混ざり、ぐちゃぐちゃと嫌な音を立てた。
高耶の反応に、男はますます激しく腰を動かす。その度に高耶の口からは苦痛の叫びが漏れた。

真白な頭で考えることはただ一つ。

(直江…助けて…!)

だが、祈りは遠く届かない。





[続]

紅雫 著
(2000.02.14)


[あとがき]
・・・鬼畜でしたかねぇ(爆)。ちなみに鋲うんぬんの部分は、参考書(笑)を片手に持ちつつ書きました。コバルト99年8月号の『Dシグナル』(さいきなおこ著)です。
まあわざわざ書かなくても、ほとんどまんま使ってしまっているので、丸分かりでしょうが・・・。
本当にこういうのは難しいです・・・(泣)。
それでは次回をお楽しみに。


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