【11】
なのにまだ影すら見つからないとはどういうことだ。 (高耶さん。いったいどこに…!) 直江がいらいらと煙草を揉み消したとき、鮎川の部下が慌てたように走り寄ってきた。 「この写真に良く似た少年を見かけたそうです!」 鮎川が反応するより早く、直江が怒鳴る。
「どこだ!」
みなまで言い終えないうちに、直江が走り出す。 「おまえが仕切るなよ。あれは一応俺の部下だぞ」 だが焦っている直江には聞こえなかった。
「この少年を見たんだって?」 友人同士、顔を見合わせて頷く。 「どこに行ったか分かりますか」 鮎川の後ろから直江が声をかけると、少女達は途端に顔を赤らめた。
「えっとねぇ、あっちの方に走ってたよ。なんか誰かを探してるっていうか、追いかけてたみたい」
鮎川と直江はさっと顔を見合わせる。 「ありがとう」 礼もそこそこに、直江は再び走り出した。鮎川は一応、 「君たちも早く家に帰りなさい」
と注意し、直江の後を追った。
「さっきの人めっちゃくちゃカッコ良かったね!」
くぐもった呻き声が高耶の口から漏れる。
あれからどれだけ経ったのか。 「ほら、もっと声出せよ」
高耶を貫き、揺すぶっている男が下品な笑い声を立てる。
高耶は両手を細いワイヤーのような物で縛められ、頭上で押さえつけられていた。身体には無数に紅い線が走っている。男達が高耶から鳴き声を引き出すために、ナイフでつけたものだ。 口腔も秘所も嫌というほど犯された。それでもまだ男達は高耶を放そうとしない。薬でも打っているのか、男達の欲望は尽きることがないようだった。
高耶の身体で散々に欲望を解放した男達とは逆に、高耶はまだ一度も達していない。最初に塗られたクリームには媚薬が混ざっていたようで、高耶の身体は意思とは無関係に高まっていた。
高耶の声は完全に嗄れ、ほとんど出なくなっている。 「声出せって!」 苛立ったように乱暴に身体を揺すってくる。 「ぁあ…っ!」 ようやく少し大きな声が出ると、満足したのか高耶の中に新たな液体が注ぎこまれた。 「どうする、こいつ。犯りすぎて声でなくなっちゃったよ」 つまんねぇと言いながら、1人が高耶の頭を足で小突いた。高耶はぐったりと横たわったままだ。 「なに、それならもっと痛い目見せてやりゃいいのさ。こいつを使おうぜ」
そう言って別の男が取り出したのは、小さな、けれども鋭い鋲のついたリングだった。それを自らの性器に装着する。 「アアアアァ―――――ッ!!」
目の前が紅く染まるほどの激痛に、高耶は掠れた声で叫んだ。 真白な頭で考えることはただ一つ。 (直江…助けて…!) だが、祈りは遠く届かない。
[続]
紅雫 著 [あとがき] ・・・鬼畜でしたかねぇ(爆)。ちなみに鋲うんぬんの部分は、参考書(笑)を片手に持ちつつ書きました。コバルト99年8月号の『Dシグナル』(さいきなおこ著)です。 まあわざわざ書かなくても、ほとんどまんま使ってしまっているので、丸分かりでしょうが・・・。 本当にこういうのは難しいです・・・(泣)。 それでは次回をお楽しみに。 |
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